2023年12月26日、きらびやかなラスベガスを出発し、太平洋を望むロサンゼルスへと向かう約450kmのロードトリップに出発しました。レンタカーで、どこまでも続く砂漠の幹線道路Interstate 15(I-15)を南下。道中では、2026年時点ではChevronとしては世界最大級の給油機数を誇るネバダ州Jeanの超巨大ガソリンスタンド「Terrible Herbst」や、ネバダ・カリフォルニア州境に位置しカジノの歴史と栄枯盛衰を今に伝えるPrimm(Whiskey Pete’s)へ立ち寄り。夜の給油休憩で出会ったメキシカンアイス「La Michoacana」など、アメリカの広大さとロードサイドカルチャーを五感で楽しんだ1日の記録をご紹介します。
- 11:10 AMラスベガス ルクソール出発
- 12:10 PMネバダ州Jeanのガソリンスタンド、Terrible Herbstに到着
- 12:50 PMネバダ州PrimmのWhiskey Pete’sに到着
- 13:00 PMIHOP入店
- 18:00 PMカリフォルニア州Victorvilleのガソリンスタンド到着
- 21:30 PMカリフォルニア州InglewoodのLAX空港近くのモーテルに泊る

この日の行程です。約277マイル(約446km)を走行しました。
Terrible Herbst

12:10 PM
ラスベガスのルクソール・ホテルをチェックアウトし、I-15を南下します。ネバダ州ジーン(Jean)に現れるのが、2026年時点でChevronとしては世界最大級の規模を誇る「Chevron / Terrible Herbst(テリブルズ・ハーブスト)」です。澄み渡る砂漠の青空の下、何十台もの車が一斉に給油できる広大なキャノピーと給油ポンプが並ぶ光景は圧巻です。アメリカのロードトリップらしいスケールの大きさを感じます。

給油エリアの奥に、巨大なコンビニ&商業施設「Terrible’s Road House」が併設されています。山小屋や西部開拓時代のトレーディングポストを思わせる木目調の重厚な外観で、砂漠を走るドライバーたちが吸い寄せられるように立ち寄る人気の休憩拠点です。

自動ドアをくぐって店内に足を踏み入れると、広大なフロアの中央にそびえ立つ大きなクリスマスツリーが出迎えてくれました。訪れたのはクリスマス翌日の12月26日、華やかなホリデームードに包まれています。

スーパーマーケットに匹敵するような広さの店内には、整然と並ぶ陳列棚がどこまでも続いています。スナック菓子やエナジードリンク、挽きたてコーヒーはもちろん、長距離ドライブに必要な日用品やカー用品まで完璧な品揃えです。

天井を見上げると、巨大なキャンディケイン(杖型キャンディ)のバルーンやリボンが華やかに飾り付けられています。アメリカらしい遊び心とポップなセンスにあふれたディスプレイが、旅の気分を盛り上げます。

ギフト・お土産コーナーには、ネバダ州のご当地グッズやカウボーイハット、ルート66の看板、個性的なTシャツなどが所狭しと並んでいます。アメリカンな雑貨を見ているだけでも楽しく過ごせます。

そして店内奥に進むとズラリと並んだ本格的なスロットマシンコーナーがあります。給油や買い物の合間に気軽にカジノゲームを楽しめるのは、カジノ大国ネバダ州ならではの光景です。チカチカと輝くネオンが独特の活気を放っていました。
| 名称 | Terrible Herbst Convenience Store |
| 住所 | 1 Goodsprings Rd, Jean, NV 89019, USA |
| URL | https://www.terribles.com/ |
| 電話 | +1 702-874-1290 |
| 営業時間 | 24時間営業 |
【2024年12月閉業】州境カジノ Whiskey Pete’s

12:50 PM
ネバダ州とカリフォルニア州の境界線に位置する街・プリム(Primm)に到着しました。青空をバックにそびえ立つ「Whiskey Pete’s(ウィスキー・ピーツ)」の巨大な看板が出迎えてくれます。かつてロサンゼルス方面からI-15を北上してきたドライバーたちが「ネバダに入ったぞ!」と歓声を上げた象徴的なランドマークです。
ここプリムの歴史は非常にドラマチックです。もともと「State Line」と呼ばれた小さな集落に、1950年代にErnest Primm氏が進出。1977年に「Whiskey Pete’s Hotel-Casino」を開業しました。「カリフォルニアからI-15を走り、ネバダ州境を越えた瞬間にギャンブルができる」という絶妙な立地を活かしたビジネスモデルは大成功を収めました。1990年代には「Primm Valley Resort」「Buffalo Bill’s」も加わって3大カジノ体制となり、大型アウトレットモールも誕生してまさに黄金期を築き上げます。
しかし2000年代以降、カリフォルニア州内で部族カジノ(Tribal Casinos)が急速に発展し、「わざわざ州境まで行かなくても近場でカジノが楽しめる」環境へと変化。さらにラスベガス自体のメガリゾート化も進み、プリムの立地優位性は徐々に失われていきました。リーマンショックやパンデミックが追い打ちとなり、2024年12月にWhiskey Pete’sが惜しまれつつ閉鎖。時代の移り変わりとロードサイドビジネスの栄枯盛衰を今に伝える、非常に感慨深いスポットです。閉業の1年前に訪れることができて良かったです。

中世のお城(キャッスル)をモチーフにした重厚な外観。青く澄み切った砂漠の空の下で威厳を放つこの建物は、かつて多くの人々を熱狂させたカジノリゾートの栄華を今なお色濃く残しています。

館内に足を踏み入れると、クラシックなスロットマシンが整然と並び、古き良きロードサイドカジノならではのどこか懐かしく温かみのある空気が流れています。

ウエスタン調の木組みの梁やアーチ構造、暖炉やシャンデリアが配された重厚なインテリア。カジノだけでなく、長旅の途中で人々が集い憩うコミュニティのような温もりが感じられます。

天井から吊るされたクラシカルなシャンデリアと、幾何学模様の絨毯が広がる優雅なフロア。時代を超えて多くの旅人を迎え入れてきた歴史の重みが空間に漂っています。

落ち着いた暖色系のライトに照らされたメインバーカウンター。ハイウェイを何時間も走ってきたドライバーたちが、ここで冷たいドリンクを飲みながら一息ついた光景が目に浮かびます。

エントランス付近には、開拓時代や砂漠の風景を描いた壮麗なフレスコ画とアーチ状のゲートが連なります。建物をじっくり見学した後は、敷地内にあるレストランでお昼休憩を取ることにしました。その後、このドアを通るのが人生で最後になるとは想像もしませんでした。
| 名称 | Whiskey Pete’s Hotel & Casino |
| 住所 | 100 W Primm Blvd, Primm, NV 89019, USA |
| URL | https://www.primmvalleyresorts.com/ |
| 電話 | +1 702-386-7867 |
| 営業時間 | カジノホテルは閉鎖 |
なぜ「Whiskey Pete’s」なのか?
ラスベガス手前の砂漠に生まれた、密造酒男の物語
ラスベガスからI-15を南へ走ること約40分。カリフォルニア州境のネバダ側に、2024年12月まで「Whiskey Pete’s」という巨大なカジノホテルがありました。「Whiskey Pete’s」――直訳すれば「ウイスキーのピート」です。いったい、なぜこんな名前なのでしょうか。実は、Peteは実在した人物です。
その名はPete MacIntyre(ピート・マッキンタイア)。1920年代、この州境付近で小さなガソリンスタンドを営んでいました。当時はまだ道路を走る車も少なく、ガソリンを売るだけでは商売になりませんでした。そこでPeteが手を出したのが、禁酒法時代の「もう一つの商売」でした。密造酒です。
Peteはガソリンスタンドの向かいにある洞窟でウイスキーを作っていた、と伝えられています。これがきっかけで、地元ではいつしか彼を「Whiskey Pete」と呼ぶようになりました。しかも、Peteは普通のガソリンスタンド経営者ではありませんでした。10ガロンハットをかぶり、腰には拳銃を二丁。1931年には、地元の郵便局長を銃で撃ってしまった事件も記録されています。一方で、当時の新聞には、本人が「世間から悪い評判を立てられている」と不満を述べていたことも記録されています。どうやら、かなり気性の荒い人物だったようです。
そして1933年、Peteは亡くなりました。ここから物語は、一気に西部劇らしくなります。伝説によれば、Peteは生前、「死んだら、道路を向いて立ったまま埋めてくれ」と仲間たちに頼んでいたといいます。10ガロンハットをかぶり、腰には拳銃。そして足元にはウイスキー。つまり、「死んでも、この砂漠を通る連中を見張っていたい」というわけです。
実際にPeteの墓は後年、普通ではない形で埋葬されていたと伝えられています。ただし、「立ったまま」「拳銃を二丁」「ウイスキーの瓶を手にしていた」といった細部については、後世の伝説がかなり混ざっているようです。近年の調査では、これらの有名な逸話を裏付ける証拠はない、とする説も出ています。ところが、Peteの死から約60年後、とんでもないことが起こります。1990年代、Whiskey Pete’sと、I-15の反対側に建設されたBuffalo Bill’sを結ぶ連絡橋の工事中、作業員が古い墓を掘り当ててしまったのです。それは、Pete MacIntyreのものと考えられる墓でした。
その後、遺骨は移されました。そして現在でも、「Peteはかつて密造酒を作っていた洞窟に再び埋葬された」という話が語り継がれています。ただし、この点についても資料によって説明が異なり、Peteの本当の最終埋葬場所には謎が残っています。
そしてPeteの死から約40年後。1977年、彼がかつてガソリンと密造酒を売っていた土地に、Ernest Primm一家がカジノホテルを建設しました。その名前は――Whiskey Pete’s。つまり、この名前はラスベガスの広告マンが作った架空のキャラクターではありません。
禁酒法時代の砂漠で、ガソリンを売り、洞窟で密造酒を作り、拳銃を腰に下げて州境の道路を見張っていた男。その男のあだ名が、そのまま巨大カジノの名前になったのです。しかもWhiskey Pete’sは、1977年の開業時にはPrimm(当時はState Line)で最初のカジノでした。後にホテルは777室にまで拡大し、I-15を走る旅行者にとって、ラスベガスへ向かう途中の巨大なランドマークになりました。
現在、Whiskey Pete’sのカジノホテルは閉鎖されています。しかし、もしI-15を走っていて「WHISKEY PETE’S」という名前を見かけたら、そこにいるのは単なるカジノのマスコットではありません。100年近く前、この何もない砂漠で「ガソリンだけでは食えない」と考え、ウイスキーを作っていた一人の男――Pete MacIntyreの名前なのです。そして、彼が死んでから何十年も経った後、その名前は巨大なカジノとなって砂漠に戻ってきました。Whiskey Peteは、実在しました。そして、彼の人生と死後の伝説が、今でもPrimmという町の名前の裏側に残っています。
【2024年12月閉業】IHOP
13:00 PM
IHOPでランチ。敷地内にあるアメリカンダイナー「IHOP」へ入店。香ばしく焼き上げられた名物のバターミルクパンケーキなど、アメリカならではのランチを堪能しました。こちらの食事の詳細は別途ご紹介いたします。
I-15を南下してカリフォルニアへ

プリムを出発し、いよいよカリフォルニア州へと突入。地平線の彼方までまっすぐに伸びるInterstate 15(I-15)をひたすら南下していきます。視界を遮るもののない広大なモハベ砂漠の中、乾いた風を感じながら走るハイウェイは爽快そのものです。

午後を過ぎると強い日差しが徐々に和らぎ、遠くに連なる険しい岩山の稜線が温かみのある黄金色の光に照らし出されていきます。大自然の雄大なパノラマの中を駆け抜ける開放感は、アメリカのロードトリップだからこそ味わえる最高の贅沢です。

夕刻が近づくにつれ、空一面に広がる柔らかな雲の隙間から日が顔を覗かせます。刻一刻と青からオレンジ、紫へと移り変わる砂漠のグラデーションに、思わずハンドルを握りつつも見惚れてしまいます。

沈みゆく太陽に向かって真っ直ぐに走るハイウェイ。前方を走る車や山々の影が美しいシルエットとなり、旅情を高めてくれる忘れられないドライブとなりました。
カリフォルニア州Victorvilleで夜の給油休憩

18:00 PM
砂漠地帯を抜けて、カリフォルニア州ビクタービル(Victorville)のガソリンスタンドに到着しました。すっかり陽が落ちて真っ暗になった夜の空気の中、給油をしつつ休憩を取ります。

長時間の運転で疲れた身体をリフレッシュするため、併設のコンビニエンスストアへ。冷たい飲み物やお菓子を求めて店内の奥へと向かいます。

店内のアイスクリーム冷凍庫を覗くと、色鮮やかなパッケージが並ぶ「La Michoacana(ラ・ミチョアカーナ)」のアイスバー(パレタ)がありました。
「La Michoacana」は、1940年代にメキシコ・ミチョアカン州のトクンボ(Tocumbo)という小さな町で誕生した伝統的なアイスクリームブランドです。新鮮な本物のフルーツを贅沢に使ったメキシカンアイスバー「パレタ(Paleta)」が名物で、現在ではメキシコ全土だけでなくアメリカのヒスパニック文化圏を中心に絶大な人気を誇っています。人工的な甘さではなく、果実本来のジューシーな果肉感と濃厚なミルクのコクが凝縮されているのが最大の魅力です。

パッケージや冷凍ケースに描かれているのは、伝統衣装を身にまとってアイスを持った少女のロゴマーク、メキシコの食文化を感じさせるアイコニックなデザインです。

今回は定番で一番人気の「ストロベリー&クリーム(Fresa con Crema)」をいただきます。ひと口かじると、滑らかなミルクアイスの中にいちご果肉が入っており、甘酸っぱさと濃厚なクリームのハーモニーが絶品です。長時間のドライブで疲れた身体に心地よい糖分が染み渡りました。
| 名称 | Mobil (Victorville) |
| 住所 | Victorville, CA 92392, USA |
| URL | https://www.circlek.com/ |
| 電話 | +1 760-241-0000 |
| 営業時間 | 24時間営業 |
LAX空港近くのモーテル
21:30 PM
ビクタービルを出発後、ロサンゼルス都市圏のフリーウェイを進み、本日の最終目的地であるイングルウッド(Inglewood)の「クリスタル イン スイーツ & スパ(Crystal Inn Suites & Spas)」へ無事到着しました。LAX空港至近の便利な立地にあるモーテルで、本日の長いロードトリップもこれにてゴール。こちらのお部屋の様子は別途ご紹介いたします。
おわりに
私の主観でのリピート評価4段階は以下の通りです。
ラスベガスの喧騒を離れ、広大なモハベ砂漠を駆け抜けてロサンゼルスへと至るI-15のルートは、巨大ガソリンスタンドや歴史ある州境の街、美しい夕日、そしてメキシカンアイスとの出会いなど、アメリカのロードサイドカルチャーの魅力を凝縮した素晴らしいドライブコースでした。
本日チェックアウトしたホテルはこちらでご紹介いたします。
| ★★★ | 素晴らしい、リピート確定 | |
| こちら→ | ★★☆ | また来たい |
| ★☆☆ | 普通 | |
| ☆☆☆ | 微妙 |
この旅行の記事一覧はこちらからご覧いただけます。アメリカ・カナダ・メキシコ(2023年12月23日~2024年1月2日)
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